「東南アジアの社会と文化研究会」のお知らせ

第41回 <2009/03/27>
森 正美(京都文教大学)
「多元的法体制と法実践の交渉: フィリピンのムスリムに関わる婚姻事例の考察から」

 「東南アジアの社会と文化」研究会を以下のとおり開催します。オープンな研究会ですので、自由にご参加ください。

●日時

2009年3月27日(金) 16:00〜18:00 (15:30 開場)

●場所

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 
総合研究2号館(旧工学部4号館) 4階会議室(AA447)

●話題提供者

森 正美氏(京都文教大学・准教授)

●発表要旨

 フィリピンのムスリムは、長年にわたり、国家におけるマイノリティとして、様々な権利の承認と実現を求めてきた。本報告で扱う「法」に関わる権利も、その重要な一部を構成している。制度的にみると、慣習法、イスラーム法、国家法やグローバルな国際規範が、いわゆる多元的法体制を構成する形で存在している。またフィリピン南部の混乱は多くの国内避難民や経済移民を生み出してきており、彼らフィリピンのムスリムに関わる法制度は、特定の地理的境界との対応関係だけでは十分にその機能を果たさなくなってきていることは、フィリピンのイスラーム法学者なども指摘するところである。このような状況をうけて、本報告では、フィリピン・パラワン島南部のムスリムやクリスチャンが混住するバランガイ(barangay)において,ムスリム住民が当事者となる婚姻事例を紹介し,そこにみられる人々の日常的実践を通じて,慣習,イスラーム,国家の「法」などが,どのように解釈され,選択され,相互作用し,多元的法体制の動態を生み出しているのか、またそれらを動かすメカニズムについて、実践と制度の交渉という視点から考えてみたい。

 

[研究会世話人代表/事務局]
伊藤正子 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
杉島敬志 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)