「東南アジアの社会と文化研究会」のお知らせ

第32回 <2007/05/18>
多和田裕司(大阪市立大学大学院文学研究科)
「宗教の自由?/ 不自由?  マレーシアにおけるイスラームの制度化と『現代的』価値の実現」

 5月18日17:00から開催を予定していまし多和田裕司氏を話題提供者とする「東南アジアの社会と文化研究会」/「京都人類学研究会」の共同主催による研究会は、多和田氏が体調をくずされ、口頭での発表が無理な状況にあるため、中止とさせていただきます。

 多和田氏の発表内容に関心をもち、期待されていた参加予定者の皆様にはまことに申し訳ありませんが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

世話人代表
伊藤正子 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
杉島敬志 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

●発表要旨

 一般にイスラームが有する価値と現代市民社会におけるそれとは相容れないものと考えられることが多い。とくに近年はこのような方向でのイスラーム理解が加速し、「文明の衝突」的な不幸な世界認識が拡大し続けている。しかしその一方で、現代という時代にあってはすべてのイスラーム社会がイスラームと「現代的」価値との「整合」を達成すべく模索していることもまた確かであろう。
 本発表では、イスラームと「現代的」価値の「整合」を抽象的、観念論的議論ではなく、「棄教」や「多妻婚」等の具体的な事柄に即して取り上げてみたい。イスラームにおけるこれらの概念は、「宗教の自由」や「男女の平等」などの実現が求められる現代国家にとって、(ムスリムが多数派であると否とを問わず)国家(社会)運営上きわめて慎重な取り扱いを要するものとならざるをえない。本発表ではマレーシアの現行の法制度のなかでこれらの概念がどのように制度化され、またそれについてどのような議論がなされているか報告する。