「東南アジアの社会と文化研究会」のお知らせ

第14回 <2003/09/19>
陳天璽 (国立民族学博物館)
「華商のネットワークとアイデンティティ」

 第14回定例研究会を下記の通り開催します。今回は、国立民族学博物館の陳天璽さんが、華僑・華人のネットワークとアイデンティティの現実とそれらに対して他者が抱いているイメージとの差異について報告します。研究会終了後、懇親会を行いますので、こちらにも振るってご参加下さい。

 なお、今回の研究会も京大東南アジア研究センター共同棟3階でおこないます。ご注意ください。研究会はオープンです。事前の登録、連絡等は必要ありません。気軽にご参加ください。

●日時

2003年9月19日(金) 16:00−18:00

●場所

京都大学東南アジア研究センター 共同棟3階講義室(307)

●話題提供者

陳天璽 Chen Tien-shi (国立民族学博物館)

●発表要旨

 華僑・華人といった場合、一般にわたしたちは、まずチャイナタウンと裕福な商売人を思い浮かべるであろう。同時に、華僑・華人は世界のどこにいても中国文化を強く保持して生活し、かれらどうしで助け合いながら、主にファミリービジネスを営んでいるというイメージもわたしたちのあいだに広く流布している。こうした華僑・華人像は、かれらはチャイニーズとしてのアイデンティティを持って生きているに違いないという考え方と密接に結びついている。果たして、華僑・華人は、わたしたちがイメージしているような集団なのだろうか。
 本報告では、東南アジア、北米、日本、ヨーロッパの華僑・華人ビジネスマンに対して行ったインタビューや各種の具体例をもとに、華僑・華人のネットワークの現実とイメージとの差異について考察する。これまでの研究が重点的に取り上げてきた華人どうしの相互扶助のみならず、華人社会内の仲たがいや分裂意識、あるいは華人と非華人の協力関係など、これまでに見落とされてきた側面や新たな動向についても検討していく。その上で、華僑・華人の複雑で曖昧なアイデンティティを捉えるための視点を、その形成過程が似ている虹を比喩として用いながら説明する。また、本報告では、華僑・華人問題に議論を限定せず、グローバル時代に生きる個人のあり方や、多文化共生の社会を構築するための可能性についても考えてみたい。

*この研究会は原則として奇数月の第三金曜日に開催されます。なお、7月は夏休みとし、研究会は開催しません。研究会の案内はメールを通じて行っています。お知り合いの方、とくに学部生・院生・若手研究者に、このメールを転送するなどして、案内リストへの参加をお勧めいただければ幸いです。案内リスト参加希望者の連絡先は nagatsu@asafas.kyoto-u.ac.jp です。


[世話人]
加藤 剛(京大大学院AA研究科)
林 行夫(京大東南アジア研究センター)

[事務局]
長津一史(京大大学院AA研究科)nagatsu@asafas.kyoto-u.ac.jp
速水洋子(京大東南アジア研究センター)yhayami@cseas.kyoto-u.ac.jp