「東南アジアの社会と文化研究会」のお知らせ

第62回研究会<2013/11/22>
西本陽一氏
雲南ラフ族における「仏」信仰の現在

第62回「東南アジアの社会と文化研究会」を下記の通り開催します。 オープンな研究会ですので、ご関心をもたれた方はぜひお気軽にご参集くださ い。事前登録等の手続きは必要ありません。

●日時

2013年11月22日(金)16:00~18:00(15:30開場)

●場所

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
総合研究2号館(旧・工学部 4号館)4階会議室(AA447)

●話題提供者

西本陽一氏 (金沢大学大学院人間社会環境研究科)

●発表要旨

 本発表は、中国雲南省瀾滄ラフ族自治県における現地調査にもとづき、過去お よび現在における雲南ラフ族の「仏」信仰について報告し、そこに見られる宗教 的な力についての理解を試みる。
 18-19世紀の雲南では、ラフ族やワ族の間に大理・鶏足山系の仏教が広がり、 超自然的な力を有するとされる僧(「仏」と呼ばれる)の指導の下で、政教一致 的な独立地域が形成された。このラフ族の政教一致勢力は、中央政府が直接統治 を拡大しようとする流れの中で、傣族地方領主や清朝の軍隊と戦闘を繰り返した が、19世紀末までには叛乱の鎮圧とともに、「五仏之地」と呼ばれたラフ族の宗 教政治的な中心は破壊され消滅することになった。ラフ族の叛乱は20世紀初めま で続くが、その後は仏教を基盤にしたラフ族の政教一致的勢力のその後について の報告はほぼ消えてしまう。
 発表者は2012年3月から8月まで中国雲南省に滞在し、かつての「五仏之地」と 特定できた村落およびかつて「仏」と「仏房」(寺院)を有した村落を訪問し現 地調査を行なった。そこでは(1)「仏房」跡の視察、(2)かつての「仏」と 「仏房」についての住民への聞き取り、(3)現在の村落祭祀についての聞き取 り、(4)政府の文化振興政策の中での各村落の「仏房」の現状についての観察 と聞き取りを実施した。
 本発表では、現地調査から明らかになった、ラフ族のかつての「仏」信仰のあ り方および、毛沢東時代の宗教破壊にもかかわらず現在もつづく住民の「仏」信 仰について報告をおこなう。「仏」や超自然的な力に関する住民の信仰について 予備的な理解も試みたい。

参考: 本発表に関係する資料を載せた報告書
http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/handle/2297/35724



[研究会世話人/事務局]
小林 知 (京都大学東南アジア研究所)
kobasa(at)cseas.kyoto-u.ac.jp