「東南アジアの社会と文化研究会」のお知らせ

第57回研究会<2012/12/21>
倉島孝行氏
カンボジア森林政治の現地点と展開:
重層的な制度/アクター分析による熱帯林動態要因の解明に向けて

第57回「東南アジアの社会と文化研究会」研究会を下記の通り開催します。オープンな研究会ですので、自由にご参加ください。事前の参加予約は必要ありません。 今回は、「東南アジアの自然と農業研究会」との共催で行います。

●日時

2012年12月21日(金)16:00~18:00(15:30開場)

●場所

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
総合研究2号館4階会議室(AA447)

●話題提供者

 倉島孝行氏 (森林総合研究所)

●発表要旨

配布資料

 カンボジアでREDDプラスが進められている。REDDプラスとは、気候変動枠組み条約締約国会合で議論されている気候変動の緩和活動の1つで現在、熱帯地域の途上国を中心に国連や世銀の支援により広く進められているものである。その基本原理は、森林を炭素の蓄積源と位置づけてその保全に経済的なインセンティブを付与し、森林の消失・劣化の流れに歯止めを掛け、それによって最終的に大気中における温室効果ガス濃度の安定化を図ろうとするものである。また、とくに政治的な事柄との関連では、以上のような仕組みの導入に当たり、森林管理ガバナンスの改善、森林に関わる諸権利の確定、社会環境影響評価制度の改革などをあわせて行い、制度の堅牢化を実現しようというものである。このようなREDDプラスは現在、東南アジアではカンボジア以外にインドネシア、ベトナム、ラオスで進められている。
 REDDプラスにより、これまでのカンボジアの森林政治はどう変わるのか、あるいは本質的には何も変わらないのか。仮に地域研究がカンボジア森林政治を良い方向に向かわせることに貢献できるとしたら、どのような洞察と提言を研究から組み立てればよいのか。ここで言う良い森林政治とは、森林地周辺に暮らす農山村住民の生活の質の向上と森林保全の両立を可能とするような政治を指す。発表者は、このような問題意識を持ちながら今後、カンボジアでの現地調査を重ねていく予定である。本発表は、それに先立って文献レヴューから整理した事柄を中心に、話題提供するものである。
 具体的に発表では以下の点について述べる。1.REDDプラスの基本的な仕組みとその展開、2.カンボジアREDDプラスの現状とデモンストレーション事業からの示唆点、3.カンボジアの森林(地)をめぐる攻防史とREDDプラス―コンポントム州東部を事例としての3点である。

[研究会世話人/事務局]
片岡 樹 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
kataoka(at)asafas.kyoto-u.ac.jp