「東南アジアの社会と文化研究会」のお知らせ

第50回 <2011/2/4>
長坂 格氏(広島大学大学院総合科学研究科)
「フィリピンの公共集合住宅における地域社会形成」

第50回「東南アジアの社会と文化研究会」研究会を下記の通り開催します。オープンな研究会ですので、自由にご参加ください。

●日時

2011年2月4日(金)16:00〜18:00 (15:30 開場)

●場所

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
総合研究2号館(旧工学部4号館) 4階会議室(AA447)

●話題提供者

長坂 格氏(広島大学大学院総合科学研究科)

●発表要旨

配布資料

 本報告は、従来の東南アジアを対象とした都市社会学的・人類学的研究がほとんど取り上げてこなかった都市住民である、公共集合住宅の居住者に焦点を当てる。マニラ首都圏では、アメリカ植民地期以来、首都圏の住宅不足の解消のために、スラム住民の再居住地区の建設や住宅地の分譲と並んで、やや大規模に行われたマルコス政権期の居住環境省による集合住宅(BLISS)の建設を含め、様々な政府機関や公社による公共集合住宅の建設が散発的にすすめられてきた。本報告では、1960年代に建設されたマニラ市に位置する7階建て2棟の公共集合住宅における、2007年に実施された世帯調査および数人のキーインフォーマントを対象としたインタビュー調査で得られた資料を用いて、公共集合住宅住民の家族・親族関係、近隣関係の一端を明らかにすることを目的とする。
 公共集合住宅は、多数の出身地の異なる人々が入居し、そこで新たに地域社会を形成していくという意味において、いわゆる「連鎖移住」によって形成されるスラム地区とは、地域社会の成り立ちの性質を異にすると考えられる。本報告では、インタビュー、世帯調査の結果から、過去40年間にわたり、公共集合住宅という、現代世界においては普遍的にみられるが、しかし当時のフィリピンの都市住民にとっては新しい居住空間において、人々がいかに地域社会を形成してきたのか、またいかに家族・親族関係を再構築してきたのかについて、具体的な資料に即して論じる。
 

[研究会世話人/事務局]
杉島敬志 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
takasugi(at)asafas.kyoto-u.ac.jp

備考
・事前の参加予約は必要ありません。