「東南アジアの社会と文化研究会」のお知らせ

第46回 <2010/03/19>
福岡正太氏(国立民族学博物館・准教授)
「聖人の力を伝えるガムラン:チルボンのゴン・スカティ」

 「東南アジアの社会と文化」研究会を以下のとおり開催します。オープンな研究会ですので、自由にご参加ください。

配布資料

●日時

2010年3月19日(金)16:00〜18:00 (15:30 開場)

●場所

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
総合研究2号館(旧工学部4号館) 4階会議室(AA447)

●話題提供者

福岡正太氏(国立民族学博物館 ・准教授)

●発表要旨

 ジャワ島西部北海岸の町チルボンのカノマン王宮には、儀礼的ガムランであるゴン・スカティが伝えられ、年に1度、預言者ムハンマドの生誕祭ムルダンに演奏される。このゴン・スカティを取り上げ、東南アジアに広がるゴング音楽やインドネシアのガムランの中にどのように位置づけることができるか、チルボンの歴史や文化の中でどのような役割を果たしてきたか、そして、世代交代が進む中で、特にイスラームとのかかわりにおいて、ゴン・スカティを支える価値観にどのような葛藤がみられるのかを考察したい。
 ゴン・スカティは、他のガムランと比較すると、東南アジア島嶼部に広くみられるゴング・チャイム(小型のゴングを複数並べてメロディを奏する楽器の総称)を中心したアンサンブルとの共通点を多くもち、比較的古い形を残すガムランである。ガムランは、ヒンドゥー・ジャワ文化の重要な部分を占めているが、ゴン・スカティは、聖人グヌンジャティ王がイスラームを広めるためにもちいたとされ、そのバラカ(聖人に授けられた超能力)を伝えていると考えられている。一方、ゴン・スカティを支える神秘主義的な信仰は、正統的なイスラームとは相いれないものであり、チルボンの人々の間にも微妙な価値観の葛藤を生み出しつつある。
 

[研究会世話人/事務局]
杉島敬志 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
林行夫 (京都大学地域研究統合情報センター)
速水洋子 (京都大学東南アジア研究所)
伊藤正子 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
片岡樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

お問い合わせ先
kataoka@asafas.kyoto-u.ac.jp
片岡樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

備考
・事前の参加予約は必要ありません。
・当日は、資料代として 200円をいただきます