「東南アジアの社会と文化研究会」のお知らせ

第43回 <2009/09/18>
村上忠良(大阪大学世界言語研究センター・准教授)
「シャンの文字文化の現状: タイ国におけるタイ系少数民族の文字の継承と仏教実践について」

 「東南アジアの社会と文化」研究会を以下のとおり開催します。オープンな研究会ですので、自由にご参加ください。

配布資料

●日時

2009年9月18日(金)16:00〜18:00 (15:30 開場)

●場所

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科  総合研究2号館(旧工学部4号館) 4階会議室(AA447)

●話題提供者

村上忠良氏 (大阪大学世界言語研究センター・准教授)

●発表要旨

 タイ国内のシャンは、国家統合のプロセスの中で、タイ国のタイ系少数民族として位置づけられている。タイ系言語を話し上座仏教徒であるシャンは、タイ国に比較的「同化」された少数民族、あるいは「タイ国民」化した少数民族とされる。しかしその一方で、タイ国北部には、現在でもさまざまな形でシャンの人々がミャンマー連邦シャン州より移住し、シャン州とタイ国北部のシャンの関係を維持しており、シャン語・シャン文字を使う機会も少なくない。特に仏教儀礼におけるシャン文字で書かれた文書の使用は、「タイ国民化」、「タイ語化」が進んだタイ国北部のシャン人のあいだでも欠くことのできないものとなっている。
 タイ国北部のシャンの人々の間には、手書きの写本から、印刷所で製本されて出版されたもの、コンピュータを使用してプリンターで打ち出した紙片状のものまで、シャン文字で書かれた様々な文書が流通している。そのような文書の形態の多様性に対して、シャン文字文書の使用は、口頭での朗誦が主流である。シャン文字文書の作成、流通、使用(朗誦)に重要な役割を果たしているのが、チャレーとよばれる高いシャン文字運用能力を有した在家知識人である。シャンの文字文化を主として担う在家知識人の活動の分析を通して、タイ国北部のシャンの文字文化の現状についての報告を行なう。

 

[研究会世話人/事務局]
杉島敬志 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
林行夫 (京都大学地域研究統合情報センター)
速水洋子 (京都大学東南アジア研究所)
伊藤正子 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
片岡樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

お問い合わせ先 
kataoka@asafas.kyoto-u.ac.jp
片岡樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

備考
・事前の参加予約は必要ありません。
・当日は、資料代として 200円をいただきます。