「東南アジアの社会と文化研究会」のお知らせ

第20回 <2004/11/04>
飯田淳子 (川崎医療短期大学)
「伝統医療の『復興』とローカルな実践: 北タイ農村におけるタイ・マッサージの受容」

 第20回定例研究会を下記の通り開催します。今回は、川崎医療短期大学の飯田淳子さんが、タイの伝統医療の復興をめぐる社会文化的文脈と村レベルでの医療実践の変化について報告します。多くの方の参加をお待ちしています。研究会終了後、懇親会を行いますので、こちらにも振るってご参加下さい。

●日時

2004年11月19日(金) 16:00−18:00

●場所

京都大学東南アジア研究所 東棟2F教室

●話題提供者

飯田淳子(川崎医療短期大学)

●発表要旨

 近年、タイ政府は、伝統医療を近代化させたものとされる「タイ式医療」なるものを制度化してきており、「タイ・マッサージ」を治療法の一つとして全国に普及しつつある。この動きには、世界保健機関(WHO)によるプライマリー・ヘルス・ケアの方針や、国内の医療従事者を中心とした「伝統医療復興運動」が影響している。
本発表では、このようなグローバルな動きに巻き込まれたチェンマイ県メーヂェーム郡の農村の事例をとりあげる。王室を中心とした「伝統」を基礎として生成され、都市中間層に「再評価」され、医療従事者の管理下で普及されているタイ・マッサージは、いかなる形で村人に普及され、受容されているのだろうか。また、受け入れられていない面があるとすればそれはなぜだろうか。
 「古きよき北タイ農村」の表象とともに語られることの多いメーヂェーム郡では、医療従事者や研究者、NGO等によって「土着の知恵」を開発に活かしていこうとするプロジェクトが行われている。本発表では、その一環として行われたタイ・マッサージの研修や、調査村に作られた「民間医療センター」における活動について報告し、村人たちの属性や社会的背景に応じた複数の対応に加えて、それらの村人たちどうしの相互行為を考察する。そして、村人たちが状況に応じて実践様式を使い分けていることと、タイ・マッサージを採用する際にも村人の病因論や身体技法、社会関係の文脈に引き寄せていることを明らかにする。

*この研究会は原則として奇数月の第三金曜日に開催されます。なお、7月は夏休みとし、研究会は開催しません。研究会の案内はメールを通じて行っています。お知り合いの方、とくに学部生・院生・若手研究者に、このメールを転送するなどして、案内リストへの参加をお勧めいただければ幸いです。案内リスト参加希望者の連絡先は nagatsu@asafas.kyoto-u.ac.jp です。

なお、今年度より研究会の世話人の一人が、加藤剛(京大大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)から杉島敬志(京大大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)にかわりましたこと、お知らせいたします。


[世話人]
杉島 敬志(京大大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
林 行夫(京大地域研究統合情報センター)

[事務局]
速水洋子(京大東南アジア研究所)yhayami@cseas.kyoto-u.ac.jp
長津一史(京大東南アジア研究所)nagatsu@cseas..kyoto-u.ac.jp