「東南アジアの社会と文化研究会」のお知らせ

第18回 <2004/5/21>
原田真理子 (広島大学大学院)
「天国への道: タイ東南部カトリック教徒の信仰・実践」

 第18回定例研究会を下記の通り開催します。今回は、広島大学大学院の原田真理子さんが、タイ東南部に住むタイ人カトリック教徒の来世にかかわる信仰と宗教実践について、仏教徒の事例との比較をまじえながら報告します。多くの方の参加をお待ちしています。研究会終了後、懇親会を行いますので、こちらにも振るってご参加下さい。

●日時

2004年5月21日(金) 16:00−18:00

●場所

京都大学東南アジア研究センター 東棟2F教室

●話題提供者

原田真理子(広島大学大学院)

●発表要旨

 カトリック教会は世界のすべての信徒に、神を信じ神の定めた十戒や教会の掟を守りつつ天国での生を目指して生活することを説く。その一方で、世界各地のカトリック教徒らが、カトリックという宗教に求めるものや信徒としてのなすべき行いに関して何を強調しているかは、彼らの住む地域や置かれた状況によって様々である。
 タイのカトリック教徒に関しては、山地民信徒の人類学的研究はあるものの、その多くが数世代に渡って信徒である平地に住む「タイ人」カトリック教徒の研究は殆どなされていない。本発表では、タイ東南部の「タイ人」カトリック教徒を取り上げ、来世に関る彼らの信仰・実践を明らかにする。
 彼らの多くは、学校や市場などの生活空間を仏教徒と共有し、通婚によって仏教徒と親族関係を結んでいる。そのような環境の中で、カトリック教徒らは、仏教徒にとって重要な概念である「ブン(功徳)」や「バープ(悪い行い・罪)」「カム(業)」などを自己の信仰や実践を説明する際使用している。しかし、その意味するところは仏教徒のそれと類似する面もあれば異なる面もある。このような類似点や相違点を検討することによって、カトリック教徒内部での意見の多様性や、カトリック教徒と仏教徒に共通する規範や倫理観、さらには、カトリック教徒の信仰に影響を及ぼす社会的・宗教的権力関係などについて考察を試みたい。

*この研究会は原則として奇数月の第三金曜日に開催されます。なお、7月は夏休みとし、研究会は開催しません。研究会の案内はメールを通じて行っています。お知り合いの方、とくに学部生・院生・若手研究者に、このメールを転送するなどして、案内リストへの参加をお勧めいただければ幸いです。案内リスト参加希望者の連絡先は nagatsu@asafas.kyoto-u.ac.jp です。

なお、今年度より研究会の世話人の一人が、加藤剛(京大大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)から杉島敬志(京大大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)にかわりましたこと、お知らせいたします。


[世話人]
杉島 敬志(京大大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
林 行夫(京大地域研究統合情報センター)

[事務局]
速水洋子(京大東南アジア研究所)yhayami@cseas.kyoto-u.ac.jp
長津一史(京大東南アジア研究所)nagatsu@cseas..kyoto-u.ac.jp